手紙タイトル

皆様、初めまして失敗社長の田畑です。

私が今回のビジネスを始めようとしたきっかけをお話したいと思います。
実は私もM&Aを売り手側として体験しています。そしてしくじっています。
この会社を設立する数年前に遡りますが当時、私もM&Aを検討していました。
しかし検討するにあたりどの会社を選択すればいいのかというところから迷っていました。
何故なら車の大手といえば○○ショッピングセンターの大手といえば○○と大体の方がわかりますが、 M&Aの大手といってもほとんどの方が皆目検討もつかないという回答だと思います。

もちろん当時の私もその一人でした。

そこで私が考えたことはとりあえず手数料の安い会社にお任せしようと思いました。
調べた結果、大手A社と中小B社であれば手数料がなんと1000万円も違ったので私は中小企業B社に仲介を依頼することにしました。

しかしこのことが後々の地獄の始まりになるとは知る由もなかったです。
まず依頼をしてきてくれたのがM&A2年目若手の真面目そうな担当の方でした。

私は一抹の不安を感じながら真面目そうな方だから大丈夫だろうと自分の心に言い聞かせながら打ち合わせをしました。
打ち合わせをしている中で『社長の会社ならすぐにM&Aが決まりますね』と言われました。当時の私の会社も無借金経営で13年間黒字経営を続けており、多少の自信もありましたのでその言葉を聞いたときには一抹の不安は消え、何やら自分の中での確信めいた自信をもてました。
そして担当者から『またお相手が見つかりましたら連絡致しますね』と言われてその日の打ち合わせを終えました。

私はその後、連絡を待っていましたが3ヶ月が経過しましたが
一向に連絡がなく、私も少し不安になり、その担当者に連絡してみましたが、返ってきた回答が『今、探しています。この業界はこういうものです』と言われたので待つことにしました。

しかし更に4ヶ月が経過したときに何の連絡もなかったので、さすがに痺れを切らし担当者に連絡をして問い詰めると返ってきた回答が『この業界は大体こういうものです。もしいま辞退されると着手金が返ってこなくなりますよ』と言われたので渋々納得して待つことにしました。

そして、この出来事から2ヶ月が経過したときにM&Aの担当者から『社長、お相手が見つかりました』と連絡がありました。私はようやくかと思いながら少し安堵の気持ちに包まれました。

しかしこの出来事は地獄の始まりの第一歩でした。

M&Aの交渉が本格的に開始され先ず始めに相手方の社長との顔合わせが始まりました。
そのときにお相手の会社の見学を含めた打ち合わせをしました。
打ち合わせの中での買い手側の社長の印象は向上心があり意欲的な社長でしたが、私の中で心配だったのがお相手の会社が凄く体育会系の会社だったので、そもそも当時の私の会社の社風と明らかに合わないと感じました。

打ち合わせが終わり、その夜に担当者にその不安を伝えたら、

『社長、この業界は大体こういうものです』

と御馴染みの回答が返ってきました。

そのときにはM&Aに対する迷いもありましたが着手金も払っているのでそのまま進める形になりました。 納得いっていない部分も正直ありましたが、その後、金額交渉のときに私の希望金額にある程度近かったので基本合意契約(独占交渉契約)を相手方の会社と結びました。
これでようやく少し落ちつけると思ったのですがそこからデューデリジェンスが始まりました。これは簡単にいえば相手方の会社に資料を提出したり、質問に答えたりする作業になります。
実はこれがとんでもなく大変な作業で法務、財務、ビジネスで合計1000近くの質問及び大量の資料を提出する羽目になりました。
どれくらい大変だったかというと本業が全く進まず、血尿がでて鬱になりました。

絶望する社長
今考えても正直、二度とあの頃には戻りたくないと思う程です。

ですがその地獄の日々も少しずつ終わりを迎えようとしてました。
質問及び大量の資料提出をやり終えたときには達成感から魂が燃え尽きた感じでした。
その頃には相手方と始めてお会いして1年2ヶ月が経過していました。
そしてやり終えていよいよM&Aの成立が近づいたと思ったときにその仲介の担当を通じて相手側から連絡がありました。
その内容を担当者から聞いたときに私は愕然とし、腰から崩れ落ちてしまいました。

その内容とは大きくわけて3つありました。

1つ目が金額を9000万円値引きして欲しいということでした。

2つ目は私の会社で銀行から借り入れたものをM&Aの資金にあてたいということでした。

3つ目はM&A成立後に契約金の半金を支払い、残りはその1年後に払いたいという条件を伝えられました。

あまりにも理不尽な要求だったので担当の方に『相手方はどういうつもりですか』と聞いたときに伝えられた返答が『社長、この業界は大体こういうものです』と伝えらました。
その瞬間、私の中で凄まじい感情に襲われました。
それはとてつもない怒りの感情とやりきれない思いでした。
この場で書く言葉ではないことを重々承知の上で有り体のままその時の気持ちをお伝えさせて頂ければ
『こいつらあまりにもふざけている』
と思いました。

しかし数日冷静に考えて出した私の答えは支払った着手金を放棄した上でこの仲介業者との距離をとることでした。
その頃の私は心身共にズタボロの状態でした。

その後、どうしようかと路頭に迷っている中、たまたま古くからの友人から連絡があり数年ぶりに食事をすることになりました。私は飲みの席の場ということもあり、その友人に色々と愚痴を含めた悩みを聞いて頂きました。
かなりの時間お話ししたので私も精神状態が少し落ち着き『明日から再び頑張っていこう』と思った矢先にその友人が

『よければ東証で上場している知り合いのM&Aの仲介業者の部長を紹介しようか』

思いもよらない言葉がでてきました。

私も前回のM&Aで懲りていたのでその場では少しだけ考えさせて欲しいと伝えて終わりましたが後日改めて考えた結果私の知り合いに信頼できるM&Aの仲介業者もいなかったので、その友人に紹介して頂くことになりました。

友人に会う機会を設定して頂き、その上場会社のM&Aの部長に会うことになりました。
会社の資料をみながらお話ししている中でその部長が『安心して下さい。私が必ずまとめてみせます。あと着手金必要ございません』と言われたのですが私は前回のこともあったので、以前任せた仲介業者とのやりとりであった不信感やまた資料提出や質問などの負担の部分も率直に伝えました。
ですがその担当の方から『出来るだけ社長の負担を軽減致します。』とすごい真剣な表情で伝えてくれましたのでその担当の方を信じて任せることにしました。
はじめはまた1年以上大変な日々が続いていくのかと思っていましたが、結果からお伝えすると3ヶ月で成約までまとめて頂きました。
しかも以前1000項目近くあった恐怖のデューデリジェンスの質問及び資料提出も30項目程度にして頂きました。

また金額も以前中小企業の仲介業者に紹介された買い手企業と比べて比較にならない金額でまとまり満足出来る形となり、正直信じられない気持ちでした。
全てが終わったときは本当にその担当の方に感謝致しました。
また引き継いでくれた社長様も能力及び人柄共に本当に素晴らしい方でしたの心からM&Aが成立して良かったと思いました。

まだまだ書ききれない部分がありましたが以上が私のM&Aのしくじったお話しでした。
最後に大手上場仲介業者と中小企業の仲介業者又はベテラン担当者と経験の浅い担当者を比較して

  1. 何故こんなにもM&Aで成約した金額に差があるのか
  2. 何故こんなにもデューデリジェンスなどの質問及び資料提出の量に差があるのか
  3. 何故こんなにもM&Aの成約スピードに差があるのか
等の疑問を私が定期的に行なっている講演会を通して、又は悩みや相談等の依頼を通じて皆様と直接お会いする機会があるときにお話し出来ればと思っています。
弊社は良いことばかりを伝えることはしません。ときには厳しい現実をお伝えすることもあると思います。

ですが出来る限り社長様の負担軽減に努め、出来る限り社長様の満足する金額での成約を目指し、出来る限り早いスピードで成約を実現させます。もちろんそこには根拠がございます。その根拠につきましても、講演会等を通じてどこかのタイミングでお話し出来ればと思っています。

会社の将来でお悩みを抱えている方はとても多いです。
以前の私もその中の一人でした。
そんな社長様に対して少しでも力になれれば幸いだと心から思っています。
また皆様との素晴らしい御縁を頂けることを楽しみにお待ちしております。
最後まで私の文書にお付き合い頂いて本当にありがとうございました。

田畑さん切り抜き
田畑光臣